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後見制度支援信託

 1月26日、後見制度支援信託について長野家庭裁判所と長野県社会福祉士会との意見交換会があり、出席した。この支援信託は、一昨年の末に最高裁判所より平成23年4月から導入することがリリースされたが、日本社会福祉士会も含めて各職能団体から拙速な導入に反対する意見書が出され、その導入が見送られている。平成23年5月から最高裁と日弁連、リーガル・サポート、日本社会福祉士会との合同協議が重ねられ、一定の合意が得られたとして、各職能団体からかなりの条件付き(日弁連は原則反対)ではあるが導入に協力するとの声明が出されたのが昨年10月~11月である。以来各県の家庭裁判所が、各職能団体の支部との意見交換会を実施しており、その一環として持たれたのが今回の会合である。

 この支援信託は、増え続ける親族後見人による被後見人の財産侵害(平成23年の10か月間で判明した不正は182件、被害総額は18億円強)を防止することを目的に検討されたものである。従って被後見人の財産を如何にして保護するかに主眼が置かれている。後見人による不正を如何に防止するかは成年後見制度の健全な発展のためには極めて重要な課題であるが、最高裁と信託協会との間だけで短期間に練り上げられたこの支援信託は、被後見人の財産を家庭裁判所の管轄のもとその使途を厳重に監視する言わば財産の塩漬けであり、さらに家庭裁判所による後見人の監督責任を放棄するものというイメージで伝わったとも言えよう。その結果これに対し各職能団体は、この支援信託は成年後見制度の本来の理念である「ノーマライゼーション」「自己決定の尊重」「現有能力の活用」を没却するものであるとして反対声明を出した。爾来その導入は見送られたままであり、先の意見交換会でもまだその全体スキームや導入時期は未定とのことであった。

 最近多くなったとは言え成年後見制度がマスコミに載る機会は極めて少ない。その数少ない機会の中で出てくるのが、残念ながら後見人による不正事件である。それも専門職による第三者後見人の不正事件は世間の耳目を集める。それはそれで大きな問題だが、数ににして圧倒的に多いのが親族後見人による不正であり、家庭裁判所はその監督責任を大きく問われている。その親族後見人に関する情報は家庭裁判所のロッカーと法務局のデータベースにのみあり、それは一般に解放される性質のものではない。全国に10万人以上はいるはずの親族後見人の実態を最高裁判所や家庭裁判所はどのように把握しているのであろうか。

 ここに一つの報告書がある。東京大学医学系研究科により平成23年3月に出された「親族後見人が抱える業務上の課題に関する実態調査」というものである。多くの苦労の末介護関係者の協力を得て抽出され協力を得られた親族後見人40人に対するヒアリング調査の結果である。そのまとめに、「(世の中に埋もれている親族後見人)それは総じて後見の知識が無く不安で孤独であるという印象を持った。」とあり、「このような本来指導を必要とする親族後見人に対しどのようにアプローチするかが課題であり、親族後見人に業務上横領をさせないためにも、財産管理や身上監護に関する監修や相談の機会が求められている」、と結んでいる。

 後見制度支援信託は最高裁判所の言うように、「不正防止という観点からの新たなオプション」として位置づけられ得るものではあると思う。しかし、これらオプションを如何に多く揃えても、親族後見人の不正防止に対しての根本的解決にはならない。いつのまにか不正に手を付けてしまう機会に囲まれている親族後見人を一人きりにさせないことが大切である。10万人を超え今後益々増え続ける親族後見人に対しては、全国規模の公的支援体制が必要なのでないかと意見交換会で発言したが、しかしそれは、法律的に白黒をつけることが任務である司法に担って貰うものとは性質が違うのではないかとも思った次第である。
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プロフィール

ちろりん村村長

Author:ちろりん村村長
衛藤史朗です。
九州で生まれ、東京でサラリーマンをやっていました。定年とともに信州駒ケ根の地に移り住み、ここを終の棲家として、成年後見活動を柱に地域福祉の増進に貢献する所存です。
趣味は剣道。

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